相続人に認知症の方がいる場合の遺産分割と相続手続き

認知症の方が相続人になる場合、そのままでは相続手続きを行うことは出来ません。
それは、認知症の方が正しい判断能力(意思能力)を持たない状態では、遺産分割においても正しい判断が出来ないためです。

 

そうした状況の方に強引に書類に印鑑を押させてしまっても、当然無効です。
そのようにして作成した遺産分割協議書も無効となり、法律的には効果を発揮することが出来ません。
きちんと法律に則った手続きを進めることが必要となります。

 

認知症の方がいる場合の手続きの進め方

相続手続きを行うためには、相続人全員が遺産分割に同意していることが前提となりますので、相続人としての意思表示が出来ない方がいる場合、手続きを進めることが出来ません。

 

こうした場合には、そうした意思能力の無い相続人に代わって遺産分割協議に参加する代理人が必要になります。

 

その代理人を後見人といいます。

 

このように、認知症の方が相続人にいる場合の相続手続を進めるにあたっては、まず家庭裁判所に成年後見人の選任申立てを行い、後見人が選任されてから後見人を含めた相続人全員で遺産分割協議を行う流れとなります。

 

このうえで、必要書類に署名捺印して相続手続きを進めて、財産の名義変更などができるようになります。

※この場合の後見人には、成年後見人、保佐人、補助人など、認知症の方の程度によっても、後見人の種類が変わることがあります。

 

後見人の選任は、家庭裁判所で行われますので、家庭裁判所に対して後見人選任の申立てを行う必要がありますが、後見人が選任されるには、認知症の方の鑑定等が必要な場合もあり、選任されるまで、一般的には2~3ヶ月は時間がかかってしまいます。

 

相続手続がスムーズに進めるためには、早めに専門家にご相談いただく必要があります。

 

当事務所のサポートサービス

相続の手続きをするためには、遺産分割の内容に全員が同意をしたうえで、全員の実印と印鑑証明書が必要になりますので、相続人が大勢いる場合、話し合いや書類のやり取りが非常に煩雑になります。

 

そこで、当事務所にご依頼いただければ、相続人の調査から遺産分割協議書の作成、およびその受け渡しを、相続人様の間に入ってサポートいたします。
また、遺産の分け方についても専門家が第三者の中立な立場でアドバイスを行い、遺産分割協議をスムーズに進めます。

※あくまでも特定の相続人の味方ではなく公平な第三者の立場としてのお手伝いになります。

 

もちろん、その後の遺産分割協議書や登記申請書等の書類作成やそのやり取りについてもまとめてサポートいたします。
第三者である専門家がアドバイスを行うことで、法律的にも感情的にも円満な遺産分割を行い、争いに発展したときに必要となる弁護士費用を節約すると同時に、相続人同士の関係が悪化することを防ぎます。

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(遺産整理業務の料金表を掲載いたします)

 

相続人が認知症のケースを解決した事例

状況

Sさんは、弟さんの相続の件でご相談に来られました。

 

弟さんは未婚で妻子なく、65歳で亡くなりました。
一人暮らしでしたが、重病で余命宣告されてからはSさんが弟さんの身の回りの世話をして、最後はSさんが看取りました。

 

弟さんの相続人としては、兄弟姉妹が4人と甥姪が3人いました。
一番上の姉のAさんは80歳で、認知症を患い、家族が誰かが分からないほどの状態でしたので、遺産分割協議をするためには成年後見人の選任が必要でした。

 

当事務所からの提案&お手伝い

Aさんの介護は、Aさんの長女のBさんがしていました。
そこで、Bさんに事情を話して、Aさんに成年後見人をつけることを承諾してもらい、Bさんを成年後見人の候補者として、家庭裁判所に成年後見人選任の申立を行いました。
この成年後見人選任の申立も、当事務所でサポートさせていただきました。

 

成年後見人の申立をした場合、親族を成年後見人の候補者としていたとしても、本人の財産が多い場合などは、司法書士や弁護士などの専門職が選ばれることがあります。
Aさんの場合は、無事Bさんが成年後見人に選ばれました。

 

成年後見人は、本人の権利を守り、本人の財産を適切に管理することが仕事になります。
今回の相続手続でも、Aさんの法定相続分にあたる財産をBさんは確保しなければなりませんので、遺産分割協議の内容もAさんの法定相続分にあたる金銭をAさんがもらう内容にしました。

 

結果

遺産分割協議書には、Aさんに代わって成年後見人であるBさんが署名捺印し、協議が成立しました。
その遺産分割協議書で、相続の手続が無事に完了しました。

 

Bさんは、以後、Aさんの財産を適切に管理し、定期的に家庭裁判所に報告をあげなければなりません。
Bさんにとっては、今まで以上に責任や負担が増えることになります。
成年後見人をつけなければならない場合は、あらかじめ親族の理解や了承をもらっておくことが大切なポイントです。

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